「社長」
「なんだね」
「羽が生えてますよ」
「それは私が禿げてることを隠喩しているのかね」
「違います」
「給料を増やして貰おうとお世辞を言っているのかね」
「違います」
「本当に私の背中に羽が生えているのかね」
「違います」
「では、嘘かね」
「いえ、羽が生えています」
「さっき自分で否定したじゃないか」
「背中ではなく頭に生えています」
「……つまりそれは私が禿げてることを隠喩しているのかね」
「違います」
「両端に虚しく残った天パーを馬鹿にしているのかね」
「違います。社長」
「なんだね」
「飛んでみて下さい」
「君は」
「はい」
「私をカツアゲしようというのかね」
「いえ」
「所謂、オヤジ狩りかね」
「違います」
「言っておくが」
「はい」
「私はまだ46だ」
「はい」
「オヤジではない」
「……」
「減俸」
「ひどい」
「黙りたまえ」
「社長お願いです」
「46はオヤジではない」
「飛んで下さい」
「まだ言うのかね」
「そうじゃなくて、社長。羽があるのに飛ばないでどうするんです」
「君は」
「はい」
「私を励ましているのかね」
「いえ」
「我が社が営業不振だからもっと頑張れと、そう言いたいのかね」
「いえ」
「つまり」
「はい?」
「『励ましている→禿げ増している』と、そう言いたいのかね」
「そんなつもりは」
「……私が禿げてることを隠喩しているのかね」
「違います」
「では、私が禿げてることを励ましているのかね」
「社長」
「なんだね」
「羽ばたいてみてください」
「君は」
「はい」
「誰に対してもそういう態度をとるのかね」
「いえ」
「ゆとり教育の影響かね」
「頭に羽が生えている人にしかこんなこと言えません」
「仮に私の頭に羽が生えていたとして」
「はい」
「天使の羽かね」
「いえ」
「では悪魔かね」
「トンボみたいな羽です」
「まさかの虫」
「はい」
「で、それは我が社にどういった影響を与えるのかね」
「……見当もつきません」
「では、こうして話をしているよりやるべきことがあるのではないかね」
「ですが社長」
「まだ何かあるのかね」
「一度鏡を見て来ていただけませんか」
「それは私にハゲを自覚しろと言っているのかね」
「いい加減にしろハゲ」
リペアゲルエンリッチの自由化
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