突然鎖を解き放ったかのように声が出る。直感的に、眼下の少女が、眠る私の体に『入り込もうとしている』ことがわかった。髪の毛から指から、少女の意識が流れ込んできたのかもしれない。そしてうつぶせだった私の霊体が跳ね上がり、腕が動くようになる。移動もできないくせに、無我夢中で少女につかみかかろうとした時だった。
少女が、勢いよく顔を上げた。
長い前髪がその勢いで、左右に流れる。街灯の青白い明かりが彼女の顔を照らした。上を向いた少女の顔…それは悲惨なものだった。左目が失われ、ぽっかりと穴が空いていた。その暗い穴からは大量の小さな小さな虫のようなモノが溢れ、蠢き、顔全体を高速で這い廻りながら少女の顔中を覆っていた。残る右目は瞼を無くし、開いた瞳孔がまん丸と私をとらえている。小さかったであろう鼻は削がれ蛆が這い回っている、鼻骨は剥き出しになって所々ささくれ立っている。口の周りにも皮膚はなく歯と歯茎が、奥まで露わになっている。そして灰色になった歯茎と欠けた黄色い歯を剥き出しにして、少女は…笑った。
声とも音ともあるいは衝撃ともとれない高音が、聴覚を突き刺す。曇りガラスを引っ掻くような笑い声、私の視界は急速に狭まり、眩暈を起こす。「気を失うのだな」ということが朧気ながら理解できた。
SK-2(エスケーツー) フェイシャルトリートメント ジェントルクレンジング
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